第7章 9月 体育祭
今日は体育祭当日。
空は雲ひとつない青空が広がっている。
開会式を終え、1番目のプログラムが始まる。
男子の200m走。ウチらのクラスからはユウジくんが出ることになっている。
応援のため友達と一緒にコースのそばまで来た。
「小春!!見とけや。1等取ったる!!」
「ユウく~ん!!がんばって~」
二人は相変わらずだ。しかし気になるのは2つ隣にいる謙也くん。ユウジくんは浪速のスピードスターに敵うのだろうか・・・
まあ敵わなかった。
「スピードスターなめんなっちゅー話や!!」
女子の200m走を挟んで徒競走に出た。
結果は察してほしい。
友達が終わるのを待って自分たちのテントに戻る途中、反対側から財前くんとその友達が歩いてくるのが見えた。
「あっ、真希先輩。徒競走相変わらずでしたわ。」
「・・そのことには触れんといてよ。」
「そんなことより、丁度よかったすわ。次出るんすけどハチマキ無くしたんで、先輩のハチマキ貸して欲しいんですけど。」
「そうなん?ええよ。」
自分のハチマキを外して財前くんに渡した。そのとき呼び出しの放送がかかり財前くんはお礼を言って友達と編成所に走っていった。
「財前くん出るんやったら見に行かへんとな。」
友達がニヤニヤと笑ってウチの腕を引っ張ってまたコースのそばまでやって来た。
財前くんと一瞬目が合った気がしたがフイと反らされてしまった。
(気のせいやった?)
鉄砲の音で一斉に走りだし、財前くんが見事1等をとった。
友達と拍手していると財前くんが今度はしっかりとこっちを向いて指で1を作って笑った。
そのあと男子の長距離があったあと3年のテントに財前くんが来てハチマキを差し出した。
「先輩助かりましたわ。俺のハチマキ自分とこのテントに落ちとったっすわ。」
ハチマキを受け取り締め直す。このあとの学級対抗リレーのために移動を始めた。
自分の番が回ってくるまで座って待っていると別の友達が後ろからハチマキを掴んだ。
「なぁ、真希。ハチマキ2-7って書いとるけど交換したん?」
「ほんま?多分まちごうたんやない、色一緒やし。」
「なんや交換したんやないんか・・。」
友達がつまらなそうに言うとその隣の子も話に入ってきた。