第7章 9月 体育祭
全国大会。青学が優勝してから1週間が立ち、3年生は引退しテニス部は財前くんに引き継がれた。はずだった・・・。
「ユウくぅ~ん。ボールそっちにいったわよ~。」
「謙也!!球どこに打っとんねん!!」
「師範、よかよか。」
「あっ小石川くん。みんなもドリンク出来たで~。」
「・・・えっ、なんやかんやで全員いてますやん!!」
そう。部長という役目は財前くんに引き継がれはしたのだが、結局部活になると全員が参加していた。
「ほら、体が鈍ると困るしな。」
「財前が部長だと心配でな。」
それぞれ言い訳があるみたいだが要はみんなテニスがしたいのだ。夏休みの間はやることもなく毎日のように部活に来ていた。
しかし、明日から2学期が始まる。9月の中頃に四天宝寺の体育祭があるらしいので2学期が始まるばかりだというのに体育祭の練習も始まるらしい。
「優勝は俺らが貰うで。」
「何言うとんねん。俺らに決まっとる!!なぁ真季。」
「えっ!?おんそうや!!優勝は渡さんで。」
白石くんと謙也くんの挑発を買いユウジくんが言い返すがこっちに振ってきたのでよく分からなかったけど、言い返してやった。
「真希先輩。運動全っ然ダメやないですか。」
「ちょっ、財前くん。」
「ちょっと光、どういうことよ。」
「一昨日先輩とテニスしに行ったんすわ。そしたら・・テニスというか運動が全くできなかったんですわ・・・。」
遠い目をしながらこの間のことを語る財前くん。ウチがテニス出来ないって言ったのに、無理やり連れてったのは誰だ。
という言葉は飲み込んで、
「体育祭はがんばるから・・・ね。」
小首を傾げながら、言ってみた。我ながらあざとい。
小春ちゃんのメガネが光ったと思ったら、近づいてきてウチこっそりと耳打ちをした。
「明日、詳しく聞かせてね。」
詳しく・・なにを?
そして次の日。始業式が終わって教室に帰ってくると、前の席に小春ちゃんが座りくるりと体をこちらに向けた。
「うふふ。ほんなら昨日のこと聞かせてもらしましょか。」
「昨日のことって・・・?」