第6章 7月 大会
「千歳くん?それ以上出ると濡れちゃうよ。」
「真希。」
「相手チーム気になる?」
「そりゃ、これから戦う相手たい。気になるばい。」
そう言って少し笑うと、ラケットをチェックしに行った。
試合が始まってすぐ雨が強くなり一時避難をしたが雨脚は弱くなることはなく強くなる一方で試合の続行不能と言うことで明日の9時に試合延期となった。
その日は大人しく家に帰った。
次の日、東京の不動峰との試合。
S3は遠山と伊武で伊武の棄権でで遠山の勝ち。
D2は石田・忍足と神尾・石田の兄弟対決でも神尾・石田ペアの棄権で四天宝寺が白丸。
「まだだ、俺達は橘さんと一緒に・・!」
「もう、よか・・」
「おもろないなぁ、最後まで試合続けられる奴はおれへんのか、不動峰には」
棄権続きで面白くないのか、金ちゃんがそんなことを呟く。
「金ちゃん次の試合な、元九州最強2人の目ぇ離せん試合や」
「ほんまかぁ!!」
S2では千歳と橘の試合が始まろうとしていた。
「白石くんあの二人って知り合いやったんか?」
「せやで。真希ちゃんテニスこっち来てからやもんなぁ。」
「あの二人九州じゃ強くて九州二翼って呼ばれてたっちゅー話や。」
そして試合が始まり、千歳くんの打ったボールが不動峰の橘くんの目に当たった。
「あっ!!」
「・・・っ・・・桔平!!」
「ふっ、あん時のけじめたい!」
「あん時のけじめ?」
話を聞くと獅子学中にいたとき千歳くんと橘くんが練習試合をしていたとき千歳くんの右目に橘くんが打ったボールが当たったらしい。そのせいで千歳くんは右目の視力を失いテニスが出来なくなった。
それから千歳くんは部活をやめ理由を知った橘くんも部活をやめたと言う。
「俺は親友から右目の視力ば・・テニスば奪ったけん」
しかし千歳くんが四天宝寺でテニスを始めたと聞いて橘くんもテニスを始めたということのようだ。
「出たな、千歳の神隠し」
「ゲーム!不動峰・橘! 3-1!」
「待っとったばい・・無我の奥に踏み込めるこの瞬間ば!」
「才気煥発の極み・・・。」
千歳くんが宣言した通りに試合が進んでいく。
「すごい・・。」
そして橘くんのあばれ玉を返して7-5で千歳くんが勝利した。