第6章 7月 大会
学校に着いてからすぐに帰る人はいなくてみんなそれぞれに自主トレをしはじめた。
その間ウチはドリンクとタオルの準備をして、明日持っていくものの確認をした。
「真希ちゃんドリンク作ってくれたん?」
「おん。夕方ゆうても夏やしな~」
「ふふ。おおきに」
帰る時は暗くなりはじめていて家の方向が同じだった、財前くんが送ってくれることになった。
会話もなく道を歩いていると財前くんが口を開いた。
「花火大会以来っすね。」
「なにが?」
「二人っきりがですわ。」
「・・・おん。」
財前くんが「二人っきり」を口に出してから意識してしまってまともに喋れなくなった。黙りを決め込んでいると財前がいきなり笑いだした。
「・・・ぷっ。あはは」
「えっ!?なに?」
「くく・・・。真希先輩意識しすぎっすわ。歩き方もおかしなってます。」
「か・・からかったんやね。」
「さあ、どうっすかね。ほら先輩ん家つきましたよ。ほなさよなら。」いつの間にか家の前まで着いていたようで財前くんがまた歩き出す。
「あっ財前くん。」
「なんすか?」
「・・・・・なんでも、また明日な。」
なんか言いたいことあった気がしたけど言うべきことなのか迷ってやめた。
「ほな先輩、また明日。」
手を降って見送ったあと、なんとなく財前くんが見えなくなった曲がり角を見つめていた。
「真希ちゃん?そないなところでポケッとしとらんで家んなか入り。」
長い時間見ていたようで買い物から帰ってきたおかあさんに声をかけられた。
「おん。お母さんおかえり。」
家にはいると、やることをさっさと済ませて明日のために寝ることにした。
カーテンを開けて空を見ると、どんよりとした雲が空を覆っていた。
(雨降らんとええけど。明日晴れますように)
ベッドに入り、目を瞑った。
朝起きると、雨は降っていないものの空は太陽の光りも通さない分厚い雲で覆われている。
学校に着くと、延期の連絡がなかったらしく会場に行くことになった。
バスに乗り込み走り出すとポツポツと雨が降りだした。少しの雨なら試合はあるらしく、会場に着いてからベンチに入った。
ふと千歳くんが目に入り今日は金ちゃんと一緒じゃないんだなと思っていると、千歳くんが相手チームをじっと見つめていることに気づいた。