第6章 7月 大会
7月17日
全国大会初日。
今日の試合は午後からだったが初日は開会式があるため朝早く、学校に集まった。
10分前には全員が揃い学校を早めに出発した。みんな緊張のせいか、バスの中は静まり返っている。
「・・・・・。」
なにか喋ろうにもこの沈黙のなか何を言うべきか、ぐるりと車内を見回すとパッと目に入ったのは、発車して5分たっていないのに気持ちよさげに眠っている財前くん。
驚いてじっと見つめていると、財前くんの前に座っていた謙也くんが気付いたようでくるっと後ろを振り返った。
「・・・この緊張のなかよう寝れんな。」
謙也くんのつぶやきにみんなが財前くんが寝ていることに気付き、呆れた声を出した。
フッと雰囲気が和らぎ、ちらほらと会話も聞こえはじめてバスのなかは賑やかになった。
「財前。着いたで、・・・お前よう寝るな。」
「ふぁぁ~。首痛いっすわ・・。」
「二時間も同じ体勢で寝たらそりゃ首も痛なるわ。」
会場に着くと見知った顔もいくつかあった。
開会式も終わり午前の試合を見に行くことにした。
次にウチとあたる兵庫の岡蔵と香川の串牧東の試合を見た。
結果は3-2で岡蔵の勝利だった。
「ウチにあたんのは岡蔵か・・まあなんとかなるわな。」
午後から岡蔵との試合が始まった。
S3は財前と大永の試合。6-1で財前が勝った。
D2は石田・金色と世良田・凪の試合6-0で四天宝寺が勝った。
S2は小石川と陰山の試合。6-0で小石川の勝ち。
D1では千歳・白石と 山本・水瀬が戦った。6-0で四天宝寺の勝利。
S1は忍足と小西の試合で6-2で忍足が勝利を納め、
結果5-0で四天宝寺が圧勝した。
「「ありがとうございました。」」
選手たちはコートに並び、審判の合図で相手チームと挨拶をして握手を交わした。
「さすが四天宝寺だよな。ベスト4だけあるわ。」
相手チームの観客席からそんな声が聞こえてきてそのあと拍手に包まれた。
相手チームからはすすり泣く声が聞こえてきてふと思った。
(そっか。3年生はこれで引退やんな。)
みんながベンチに帰って来て学校に帰る準備をする。
「明日は午後から不動峰とや。オーダーは明日発表するから今日は帰ってゆっくり休めよ。」
監督にも最後に挨拶をして自分たちはバスに乗り込んだ。