第4章 6月 おまじない
合宿が終わり、6月に入ると雨が続き湿度も部員もジメジメしている。
今日も部活は渡り廊下で筋トレとラケットの素振りだ。このメニューも何日目か・・・。
みんなは黙々と自分のノルマをこなそうとしているがなかなか自分の思うトレーニングが出来なくて少なからずイライラしているように見える。
「今日はこれまでや」
部室に帰ると他のメンバーが着替え始めるなか金ちゃんだけは部室の奥でゴソゴソと何かしはじめた。
後ろからそっと覗き込んでみるとティッシュの箱を前に在るものを作っている。
「金ちゃん・・・てるてる坊主作ってるん?」
「おん。そろそろコートで練習したいからな、神様にお祈りするんやで。」
ニカッとこちらを向いて笑っている金ちゃんを見て、小春ちゃんがなにかを言い終わる前に白石くんが
「明日はは・・」
「ええやん、てるてる坊主。みんなで作ろか。」
着替えをすませてからみんなで部室のテーブルを囲んでそれぞれのてるてる坊主を作る。
作ったてるてる坊主に好きな顔を書き込んでいく。髪の毛を書いたり、洋服を書いたりいろいろなてるてる坊主が出来上がってきた。
「財前、それ誰の顔や。」
「これですか?師範の顔ですわ。てるてる坊主見とったら師範の顔が浮かんできたんで。」
という謙也くんと財前くんの会話がありそれからはたくさんできたてるてる坊主の中に銀さんの顔をしたてるてる坊主が大量に出来上がっていった。
それを部室にみんなで吊り下げて、金ちゃんの計らいでみんなでてるてる坊主の前でお祈りをする事になった。
「明日は晴れますよーに!!」
金ちゃんの掛け声に手を合わせみんなで心のなかでお祈りをする。
((天気予報で明日は晴れるてゆうとったんやけどな))
次の日・・・・みんなの祈りが届いたのか雲ひとつない青空が広がった。
「神様おおきに~!!」
「んん~エクスタシー!!」
金ちゃんと白石が喜びを露にしていたがそんな二人を天気予報で今日から晴れることを知っていた他のメンバーが微笑ましく?見ていた。
その日は久しぶりにみんなが活き活きと部活を楽しんでいたとか。