第3章 5月 合宿
午前の休憩で使ったタオルを洗って干すと,一度昼食を作るためテニスコートを離れた。
昼食を済ませ午後の練習の休憩中,朝作って冷やしていたものを出して持っていく。
「みんな、ゼリーあるで~」
「わ~い。ゼリーや」
ゼリーを食べ、最後の一踏ん張りをして今日の練習は終わった。夕食もしっかり食べ、今日も白石くんの部屋に集まったが今日の練習中あくびをする人が多く、みんな部屋に返された。
みんなが大人しく部屋に帰るはずもなく隣の部屋で何かしているみたいで騒がしい。
今日も大浴場に行けなかった。明日で合宿は最終日なのでなんとしても入りたい。
次の朝にはアラーム通りに起きることができ早速大浴場に向かった。
「うわ~。思っとったより広いな~」
湯気がモワモワと立ち込める大浴場のなか温泉はかけ流しらしい。お湯に浸かるとホッと体の力が抜けていく。
外を眺めながら一息付いていると
ガラッ
扉の開く音がして、聞き覚えのある声がした。まあここにはウチらしかいないから聞き覚えなかったら逆に怖いか。
「あれ?真希も来とったんか!」
「はっ!?真希居るん?ちょっみんな入ってくんな。」
「タオル巻いとるし大丈夫やで。」
「おまっ!中3なめんな」
「金ちゃん帰ってこい。行くなや」
金ちゃん以外の人たちが慌てて踵を返す。白石くんが目を押さえながら金ちゃんを回収して出ていった。
お湯から出て着替えて廊下に出ると慌てて出ていったためか、腰にタオルを巻いた状態でみんな廊下にいた。
「なんかお騒がせしてごめんな。」
居たたまれなくなってその場から離れて朝食を作りに行った。
「というか,混浴やったんやなあ。」
お風呂からみんなが上がって来ても少しの間誰とも視線が合わなかった。
気まずい雰囲気で朝食を済ませ、みんなが練習の準備をしている様子を眺めながらドリンクを作った。
(みんなどうしたんやろ。)