第3章 5月 合宿
ユウジくんを起こさないように腕を退かしそっと部屋を出た。
自分の部屋に戻り、身支度をすると朝食を作りに調理場に向かった。
「小村先輩おはようございます。」
調理場に入る直前後ろから声を掛けられた。振り替えるとジャージ姿の財前くんだった。
「財前くん、おはよう~。こんな朝早くどしたん?」
「外走ってきたんですわ。それより朝飯の用意なら手伝うっすよ。」
「ふふ、ありがとう。お願いしよかな。」
二人で並んで調理をする。ウチは味噌汁を作り、財前くんは魚を焼くために捌いている。
「正直助かったわ~。魚捌くんちょっと苦手なんよね。」
「こんくらい別にいいっすけど。先輩手に持ってるの砂糖っすわ。」
「へっ?・・・・ホンマや間違うてしまったわ。」
財前くんの手元を見てたら自分のほうに気がいってなかったみたいで塩と砂糖を間違えて入れようとしていたらしい。
財前くんがいてくれてよかった・・。
朝食が出来上がる頃、他のメンバーが食堂に入って来た。
「また自分にやらせてしまったな。」
「平気やで。今日は財前くんが手伝ってくれたから。」
ね。と同意を求めるように財前くんを見ると一瞬ふいとそっぽを向くとハッとこっちを向きなおして意地悪そうに目を細めた。
「まぁ小村先輩一人で料理させたら大変なことになりますから。さっきも味噌汁にさ「わああ!!!」・・・」
「財前くん。あかんでそれ以上ゆうたら」
「先輩味噌汁に砂糖入れようとしたんですわ。」
「・・・砂糖。財前よくやった。」
「俺達の味噌汁守ってくれてありがとう。」
ダメだって言ったのにあっさりと言われてしまった。しかもみんなが悪ノリするから、ウチがおっちょこちょいみたいな感じに・・・
「先輩おっちょこちょいっすわ」
「うぇ!?」
「今も心の声だだ漏れですわ」
前もこんなことがあったような・・・デジャヴを感じながらみんなで朝食を取った。
「お皿ウチが洗っとくからみんな準備して、8時にコートに集合な~。」
みんなが部屋に帰ると、お皿を洗いつつ今日の差し入れの下準備をついでにやっといた。
「あとはこれを冷やして・・・っと」
作ったドリンクを持ってみんなが練習を始めたであろうコートに向かった。
練習を見ながらみんなをもっと支えられるマネージャーになりたいと改めて思った。