第1章 プール掃除(宍戸)
ある日の氷帝学園中等部3ーBの教室。
「さて、今回ウチのクラスにプール掃除当番が回ってきたわけだが・・・一番部員が多い部活にしよう。」
たしか、うちのクラスで一番多い部活は男子テニス部とサッカー部で5人ずついるんだけど・・・
な~んかテニス部に決まりそうな気がする。
先生がクラスを見渡す。
「サッカーと男テニが5人ずつか。じゃあ、じゃん」
「先生!!男テニにはマネージャーがいるので6人です。」
多分先生はじゃんけんで決めろと言いたかったのだろう。
それを遮るようにサッカー部員の一人が天井に向かって真っすぐと手を挙げた。
「マネージャーもいれるの!?ずるい。」
「確かにそうだな・・じゃあテニス部、昼休みに頼んだぞ。」
先生はそう締め括ると朝のホームルームを終わらせ、教室を出ていった。
「テニス部ドンマイ。」
「お前が言わなければじゃんけんだったのに。」
「まぁそんなこと言っても仕方ないだろ・・激ダサ。」
他のテニス部員が愚痴をこぼしていると宍戸が間に入った。
「宍戸、お前なんかやる気だな。」
「プール見たけどキレイだったぜ。こんなあっちぃ日にプール使えるとかラッキーだろうが。」
「宍戸もたまには良いこと言うね。」
宍戸の言葉も一理あると思い会話に交ざる。
「おおまき、お前もしっかり働けよ。」
「どこのお偉いさんだよ。」
確かに今日はいつもより気温が高く真夏日だったので昼休みのプール掃除が少しだけ楽しみになった。
楽しみな理由はそれだけじゃないけど・・・
午前の授業はあっという間に終わり、昼食を急いで食べるとテニス部の6人でプールへ向かった。
「ジローそんなとこでサボらない!!」
プールに着いて即ベンチに寝ようとするジローを引っ張り掃除を始めた。
宍戸の言った通り掃除と言ってもほとんど終わっていたので落ち葉を拾って砂を流す作業だけだった。
男子は制服のままだったけど私はとりあえず下だけジャージに着替えた。
「おい!!ホースこっち向けんなよ。」
「濡れる濡れる!!」
私たちが落ち葉を拾っている間に反対側からホースで砂を流しているようだったが、だんだん水の掛け合いのようになっている。
なんとなく嫌な予感がした。
ビシャァ!!