【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第16章 偽りの仮面
よくもまぁ挨拶交わしただけの人間を覚えていたものだと赤井の記憶力の良さに感心したのだが、続く言葉を聞いた途端己の耳を疑ってしまうのも無理はない。
「?何をそんなに驚いているのか分からんが、君の狙撃技術を始めて見たときは心底驚いた。俺もそこそこ腕に自信があったが…君ほどの腕前は俺の知る限り他には居ないだろ」
…あ、そっちな…
『(紛らわしい言い方すんじゃねぇよッ)…あんたの噂も聞いてたぜ。かなり凄いスナイパーが居るって。まぁ名前だけしか知らなかったんだが…まさかこんな形で会うことになるとは…』
「ああ、俺も驚いた。また会えるとは思ってなかったからな」
『……ってか、その声でその顔ってのがすげえ違和感あるぜ…』
顔は昴のままなのに声は赤井秀一のものなのだから違和感があっても当然だが、背中が痒くなるようなどうにも変な気分だ。
「…ふむ。……なら…これでどうだ?」
『??っ!!?!」
突然昴が自身の顔をべりっと剥がし始めたことに驚き、その裏に隠されていた本来の姿に何が何だかサッパリだと唖然と目の前で不敵に笑う男を見つめ、メイクでないことは分かっていたのだがまさかこれほどの技術があるとは本当に驚きだなと先ほど引き剥がされたモノを興味津々に眺め、そんな俺に向けられる楽しそうな視線に少し恥ずかしさを感じて軽く咳払いをする。
『あー…なんだ、工藤婦人ってすげえな。こんなことまで出来るとは…まるで…「ベルモット」っ!?…そうか…お前も組織に潜入してたんだったな』
「変装を得意とする組織の一員。…まさか君も関わっていたとは」
『…ベルモットの事は名前と変装が上手いってことぐらいしか知らねえ』
「ホー…。ということは他の誰かの事は良く知っている、ということか」
すでに冷めきってしまった珈琲カップの中を覗き込み小さな息を吐き出し、それをテーブルの上に置くと自身の服に手をかける。そんな俺の行動に目の前で何をする気だと言いたげな男に見てろと視線で告げて左肩が見えるように脱いでみせた。