第23章 酒は詩を釣る針
「興奮しました?」
時雨先生の先走りが滲んだ頂点を擦り撫でた。
「うッ……く、ぁあッ……」
「言うまでもないみたいですね」
わたしは立ち上がり、リモコンを手に取る。
誰もいない保健室が映るテレビ画面を切り替え、
「えッ……」
たった一人で視聴覚室にいる時雨先生を映し出した。
『ぁ……ッあ……』
時雨先生は目を見張る。
「……なっ、何、これ……」
驚いた顔で画面を見つめている。
わたしは隣に立ち、淡々と呟く。
「これはわたしが視聴覚室を出てから戻ってくるまでの録画映像です」
画面上の時雨先生は興奮状態で、呼吸も荒く熱っぽい。
『ふッ……うッ、う……!』
目付きも蕩けている。
「隠し撮りされてたのは永夢くんと聖くんだけじゃなくて……」
わたしは時雨先生を見下ろし、一笑した。
「時雨先生も、です」