第3章 むかし
「トラファルガーッ…‼な、なんでっ…」
「クク…初めてだったか?」
「そんなわけっ…‼…そ、そうだけど…」
口ごもる女の顔を上げ、また口づける。
「っ、ん…ぅ…」
引き剥がそうとする女の腕を片手で封じ、もう片方の手で頭を抑える。
酸素を取り込もうと、少し開けた唇の隙間に舌をねじ込む。
「‼?…んんっ、」
必死に逃げる舌を追い、自らの舌を絡める。
たまに、鼻にかかった甘い声を出すから自分自身が止まらなくなっていくのがわかった。
何度か繰り返すうちに諦めたのか、抵抗する力が無くなった。
そのすきに手を絡める。
こいつ…初めてだって言うくせに上手い…。
小さく音を鳴らし唇を離す。
女はおれの胸元に頭を預け、肩で息をしている。
「ハァ…っ、ハァ…、さい…てっ…‼」
「最低?はっ、途中からてめェも乗り気だったじゃねェか…」
「あ…あれはっ…‼ただ…少し、」
まだ呼吸が整わないのか…
最後の方に文句を言っていたようだが聞こえなかった。