第3章 むかし
石鹸の匂いのする赤髪に後ろから顔を押し付け、相手の反応をうかがう。
ビクッと肩を揺らしたと思えば耳は真っ赤。
後ろから抱えるように腰を持ち、首元に顔をうずめる。
「こっち向け。」
「な、何で…あたし、こういう事するために来たんじゃないんだけど…」
「そんなのは知ってる。ただ、おれが求めてるだけだ。」
欲求不満のガキか、などと自分に怒りたくなった。
しぶしぶ、おれの方へ体を向ける。
顔は髪のように赤く、少し目が潤んでいる。
やりすぎたか…?と内心思うが何を今更、と開き直るしかない。
「な…なに…?」
「目、瞑れ。」
「は?」
ポカーンという音が1番しっくりくるマヌケな顔。
無理やり目を閉じさせ、言葉を発しようとした口を
「んっ…!?」
塞いだ。