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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第37章 これだから恋愛初心者は






『ごめん、真ちゃん!遅くなった!』


「全く、いつまで待たせ、」



玄関から飛び出して出てきた花子が見慣れない格好をしていて、オレは思わず口ごもってしまった。


それもそのはず、専らジャージしか着ない花子が、レースのスカートを履いているというだけで驚きなのに、加えて化粧もしているのだ。



『・・・変・・・・かな?』



ここからは漫画でよくある一コマのような、可愛いと思っているはずなのに素直に伝えられない彼氏と、頑張ってオシャレしたが少し不安になっている彼女の画だ。



「いや・・・うん。・・・まぁ、いいんじゃないか?」



なんてオレの口から出てくる言葉たちはいつも通り天邪鬼で、せっかくのデートだというのにこれはまずいかと花子の顔を盗み見る。膨れ面のひとつでもしているかと思った予想とは裏腹に、彼女は満面の笑みだった。


その顔がとても可愛らしくて愛らしくて、胸の奥の方がキューっと締め付けられる。



「っ!! 行くぞ、映画みたいんだろ。」



そして花子の手を取る。それに答えるかのように絡められた小さな手を離したくないと改めて思うのだった。



今日のデートは予定通り、モデル黄瀬のプランだ。
昨晩、それが黄瀬から送られて少し経つと電話がかかってきた。



「“緑間っち大丈夫そうですか?”」


「一通り目を通したが、池袋って危険じゃないのか?」


「“はぁ?”」



受話器の向こうから素っ頓狂な黄瀬の声が聞こえる。デートプランの内容は1日池袋を回る設定であった。しかし、オレの中の池袋のイメージはとても治安が悪いのだ。


なぜなら池袋には、黄色や青のバンダナを巻いたカラーギャングがいるという花子の話を聞いていたからだ。


「“緑間っち。それ漫画の世界だから。”」


そして電車を乗り継いで池袋に着く。
やはり黄瀬の言う通り、オレの想像していたカラーギャングと呼ばれるような人たちは1人もいなかった。


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