第34章 ごめん、許してくれ
「遅くないか、花子。」
「あぁ、確かに。他のバスケ部員は何人か出てきたみたいだが。」
「帰りに何か買わせてやるのだよ。」
部活が終わり校門で緑間と花子を待つ。基本的に待たされることの方が多いのだが、今日はいつもに比べ輪をかけて遅い。
体育館まで迎えに行ってみるか、と校門から引き返し女子の体育館に歩き出したとき、サッカー部の何人かとすれ違った。
「女バスだろ?」
「まじ怖いよなぁ〜、オンナって。」
女バスというワードに嫌な予感がし、緑間に先に体育館へ見てくるように頼み、オレはすれ違ったサッカー部員を追いかけ声をかけた。
「ちょっといいか?今、女バスの話してたよな?」
相手は同じ1年生で何度か見かけたことのある顔だった。中には同じクラスのサッカー部もいた。
「あぁ。なんか女バスの1年が4、5人いたかな?」
「もっといなかったか?まぁそいつらがプールのフェンスのところからバッシュ投げてたんだ。」
「辞めるように言ったんだけど、オレらも部活あるから急いでてさ。」
「名前とか分かるか?」
「いや、名前までは分からないけど、顔は覚えてるぞ。」
多分、いや絶対にそのバッシュは花子のだと直感的に思った。
サッカー部員たちに礼を良い、プールの方へと走って向かう。
・・・絶対に花子のだと思うのに、違って欲しいと思ったり。
仮にそのバッシュが花子のだったとして、今日あいつは何を履いて練習したんだ?もしかしてプールの中に入って探してたりしないよな?この寒い中まさかな。いやでも花子なら・・・。
あぁ、もうこんなにも心配事が絶えないのは、花子オマエだからだぞ、なんて心の中で声を荒らげる。
プールの入口にいくと、掛かっているはずの鍵が外れていて、だんだんと嫌な予感が現実味を帯びてくる。
ドキドキと大きな音を立てて心臓が脈打つ。
一歩、また一歩とプールに近づく。
更衣室、シャワー室を順番に抜けたときだった。嫌な予感はリアルとなって目の前に現れた。