第33章 赤司が大きくなったんだよ
「・・・ここにもいないか、」
探し始めて30分、一向に花子の居場所は分からなかった。
学校、公園、それからマジバ、花子が行きそうなところを緑間と手分けして虱潰しに探してみたがどこにもいない。それに加え電話も繋がらないのだ。
中学生の女の子が夜に1人でいるなんて、事件に巻き込まれたりしていないかと心配はどんどんと大きくなっていく。
・・・思い出せ、オレ。
他に花子が行きそうな場所を考えるんだ。落ち込んでいるであろう彼女の行く場所はどこだ?
煌びやかな街中をひたすら走りながら、頭をフルに回転させる。
・・・いや、違う。
オレだったらどこへいく?落ち込んで泣きたいときにオレは・・・。
「・・・裏山だ。」
オレは来た道を引き返し、小学校の裏にある小高い山に向かって足を早めた。
あれは母さんが死んで少し経ったころ。
それでもその事実をなかなか受け止められずオレはひっそり裏山で一人泣いた。
今ではもうよく思い出せないが、気が付くと隣に花子がいて、泣いてるオレをそっと抱きしめてくれた。
そのときオレが花子に言った言葉を思い出した。オレはあの日確かにこう言ったのだ。
“ここは二人の秘密基地にしよう。辛いときはここで泣いてもバレないよ”
と。
それ以降オレは裏山へは行っていないし、花子と裏山の話をした記憶もない。
それでも花子は絶対にそこにいると思った。
長い石堤の階段を一気に駆け上がる。
これじゃまるでトレーニングだなと鼻で笑いそうになりながら頂上までたどり着くと、木彫りのベンチに腰掛ける花子を見つけた。
「花子っ、」
『・・・・・。』
オレは思わず何も答えない花子をきつく抱きしめた。