第7章 誕生祝い to Masaki
「もうイチャイチャは後にして!お腹減ったから、さっさと釣って食べよ!」
ほっとくといつまででもイチャついてそうなバカップルたちに声を掛ける。
これを黙って見てるのはしんどいし、何よりもうっかりこの空気に流されて風ぽんになんかしちゃったら困る!
手が勝手な動きをしないように釣竿をしっかり握り直してたら
「あ、そうだね。ちょっと思ってたより時間掛かっちゃってるしね」
ぱっと翔くんがニノから離れた。
珍しく翔くんの予定通りにいってないみたいだ。
ニノはイチャイチャを邪魔されて不満そうに俺を睨んできたけど、気にしないもんね。
「あ、ニノはもう釣るなよ!翔くんと交代して」
「なんでよ!」
口を尖らせながら釣竿に手を伸ばしたニノに釘をさしたら、ニノはますます膨れた。
「俺も釣りたいからだよ!」
「勝手に釣ればいいじゃん!」
「ニノが釣ってると釣れないの!」
「そんなの俺のせいじゃないもん!」
「ニノはもういっぱい釣ったでしょ!」
ダメだね。
ニノと喋ってるとすぐ口喧嘩になっちゃう。
でもさ、魚嫌いなくせになんでこんなにムキになるわけ?イチャイチャ邪魔したから?
突っかかってこられたら、こっちもムキになっちゃうんだけど。
むぅっと睨み合ってたら、のほほんと智が割って入ってきた。
「ねぇニノ、翔くんが釣りしてるところ見たことある?」
「え?ううん、ないけど…?」
なんの脈絡もない智の質問に、ニノも戸惑ってたけど
「釣りしてる翔くんもカッコイイんじゃないかな~。ニノ見たくない?」
「見たい!!」
智がにっこり笑って聞くと、途端にその目がキラキラと輝いた。
「はい、翔ちゃん♡がんばってー♡」
ニノはものすごいあっさり翔くんに釣竿を手渡すと、黄色い声援を送り始める。
本っ当にこいつは!!!
智がこっそりウインクしてきたから、目でありがとうって伝える。
でもニノの変わり身の早さにため息が出ちゃうのは仕方ないよね!?