第4章 生徒会
その後は、あんまり見たことがないようなこわい顔で翔ちゃんが怒って。
間違った思い込みで怒られるのは可哀想だから、それは俺も否定したけど。
2人の話を聞きながら、翔ちゃんはずっと不機嫌で。
それ以上は口を挟めなくて、ただ黙って見てることしか出来なかった。
そのまま今に至るんだけど…
重たい沈黙の中、翔ちゃんがもう一度ため息を吐いた。
まだ怒ってるのかな…?
ちらりと見上げたらばっちり目が合った。
一瞬ドキッとしたけど、その目はいつもの穏やかなものに戻っていて。
もうこわくない。
安心してにこっと笑いかけたら、翔ちゃんも優しく笑ってくれた。
翔ちゃんは真顔に戻ると、まだ頭を下げたまま待ってるマスダたちに視線を戻した。
「……もういいよ」
「先輩っ!」
「アニキっ!」
翔ちゃんがため息混じりにもう怒ってないことを伝えると、マスダもウエダもパッと顔を上げて目を輝かせた。
「ただし次はないからな!」
「はいっ!」
「もちろんですっ!」
ビシッと釘を刺されても、嬉しそうに元気いっぱい返事してる。
ほんの数秒前までしょんぼりしてたのが嘘みたい。
本当に翔ちゃんのことが好きなんだなぁ…
別にいいけど。
いいんだけど。
ほんとはちょっとだけ面白くない。
でも負けないもん。
翔ちゃんのこと一番好きなのは俺だもん。
この場所は誰にも譲らないんだから!
心の中で誰にともなく宣言して、翔ちゃんのシャツをぎゅっと握りしめた。