第4章 生徒会
ニノは人見知りを発揮してるのか、警戒した顔でじっと2人を見ているだけで近付こうとはしない。
まぁ、ニノは色んな意味で有名人だからね。
ほぼ全校生徒に名前も顔も知られてるはず。
だからニノが相手を知らなくても、向こうがニノのことを知ってるのは不思議でもなんでもない。
ただ、ニノが翔くんと付き合ってることも同じくらい知れ渡ってるから。
こんな堂々と告白しに来たりはしないだろうし。
そもそも2人で来てるし、“ニノが好き♡”みたいなそんな空気でもない。
この子たちの目的が分からなくて困惑してしまう。
「突然すみません。1年の増田と言います。こっちは上田です」
マスダくんとやらは、空気を読んでるんだか読んでないんだか、距離のあるままマイペースに自己紹介をしてくれる。
ウエダくんは黙ってぺこりと頭を下げた。
「生徒会の1年。翔の親衛隊っつーか、とにかく翔のことが大好きなやつらだよ」
さっき声を掛けてくれたクラスメイトがコソッと教えてくれる。
それを聞いた途端にぴくっとニノの頬が引き攣って。
突然ツカツカと2人の元へ向かっていくから、慌てて後を追った。
「俺になんの用?」
まっすぐに2人を見て、ニノがかたい声で聞くと
「櫻井先輩のことでお話があります」
マスダくんもウエダくんも真顔になって。
真剣な顔でニノに頭を下げた。