第4章 生徒会
-Oside-
「じゃあ…ごめんね、カズ。そろそろ行ってくるね?」
「うん、いってらっしゃい♡」
放課後の教室。
名残惜しそうにニノの手を離せない翔くんと、にっこり笑って見送ろうとするニノ。
…を、客観的に見守ってる俺たち。
「今生の別れじゃないんだから早く行けよ」
潤がブツブツ文句を言ってるけど、当然のように翔くんの耳には届いていない。
会長からの勧誘はまだ続いていて。
いつもは休み時間に来てたんだけど、今日はじっくり話がしたいからと放課後に呼び出されたらしい。
「翔ちゃん、会長が待ってるよ?」
なかなか動けないでいる翔くんの手をニノからそっと離した。
ニノにこないだまでのドヨドヨした雰囲気は一切ない。
なんの憂いもない可愛い笑顔を浮かべている。
ちょっと前、登校してきたらびっくりするくらいイチャイチャしてた日があったんだけど。
どうやらその時に翔くんとしっかり話が出来たみたいで。
不安を払拭してもらえたんだろうね。
それからのニノはすごく落ち着いてて、余裕すら感じる。
「どれくらい掛かるか分からないから、智くんたちと先に帰っててね?」
「ううん、待ってる♡」
翔くんはちょっと名残惜しそうにニノに先に帰るように促すけど、ニノは首を横に振る。
「でも…」
「待ってる!翔ちゃんと一緒に帰りたいから!」
「カズ…」
頑なに待つと言い張るニノに、翔くんは喜びと心配が混ざったような複雑な顔をした。
「俺も一緒に待ってるから心配しないでいいよ」
「俺“たち”な!」
翔くんを安心させてあげようと横から口を挟んだら、すぐに潤に訂正された。
細かいなぁ、もう。
でも当然のように付き合ってくれるのが優しいよね。