【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第74章 必要な犠牲
「相手役とったよ」
増長さんがどうして?
彼になんのメリットがあるんだろう。
私の思いを守ってくれる為?
本当にそれだけの為に......?
「ありがとうございます。私の思いを、大切にしてくれようと頑張ってくれたんですか?」
こんなの......良いように解釈したくなるよ。
優しい瞳と目が合うと顔が熱くなった。
慌てて目を逸らすと、頬を包まれ目線を合わされる。
やっぱり......私は彼が。
「好きだよ」
好き......?
むしろ、私が彼を......。
でも......
「好きって......?」
「ふふっ、好きだよ」
それは......
「どういう、好き?」
「こういうことしたい、好きかな?」
唇に触れた柔らかいもの。
「みょうじさんが、他の人とキスするところなんて見たくない。これからは俺だけとして、他の人には触らせないで?皆は煽るだけ煽っといて......一切手は抜いてくれないからね」
小さく聞こえたため息。
本当に......?
増長さんが私の為に頑張ってくれたの?
「ごめんなさ......」
ずっと我慢してたものが頬を伝って......もう我慢出来なかった。
「泣かないで。俺は、みょうじさんの為なら幾らでも努力できるみたい。努力は得意だから俺を選んでほしいって......結局は俺も交際を迫るのか......」
困ったみたいに笑って......その言葉も昔のままだ。
「夢じゃない......?」
「夢じゃないよ。みょうじさんが好きなのは今の俺じゃないから気持ちには応えられないって思った。それなのに誰かのものになってしまうって考えたら......本当に勝手でごめんね」
勝手......勝手なんかじゃない。
私の方がよっぽど勝手だ。
「気づいたんです!前の彼を今の増長さんに重ねて愛しく思うことは傷つけるだけだと思った。だから離れようとして......でもその行動自体が今の増長さんを大切に思ってのことだったって。同じくらい愛しいんだって」
でも......思い出して慌てて身体を離す。