【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第74章 必要な犠牲
「決まったよ......みょうじさんの相手役」
「そうですよね......昨日」
誰が選ばれたんだろう。
この穴が埋まる日は来るのかな?
ううん、ちゃんと私からも歩み寄らないといけない。
「皆、真剣で......一切手を抜かなかったよ」
仕事熱心な彼らのことだから、真剣な様子がすぐに頭に浮かぶ。
「私のわがままの為に頑張ってくれたんですね。もったいないな。最後になるのにちゃんとこの目で見たかったです」
本当に見たかった。
でも感激したら泣いてしまうかもしれない。
「本当に結婚するの?」
「はい」
綺麗な海色と視線が絡むと再び抱き寄せられた。
懐かしい体温。
香り。
心地良くて離れられなくなりそうだ。
でもーー
「増長さん、こういうのはもう......」
これ以上かき乱さないでほしい。
必死に胸を押すと、更に強く抱きしめられる。
「いやだ......離してください......」
暴れていると耳元で聞こえた声。
「多分聞いてるよね。俺は『倫毘沙には勝てない』ってずっと思ってて......きっとそういう弱い俺も君は全部受け入れてくれたんだろうね......」
それは確かに聞かせてもらってるけど。
胸が苦しくて頷くのがやっとだ。
「本気でやって負けてもどこかで『仕方ない』ってずっと思ってたんだ。『勝たないといけない』『勝ちたい』ってこんなに強く思ったのは初めてだよ」
「なにを......言ってるんですか?」
北門さんにも負けたくなかった?
そんな言い方されたら......まるで彼が私を。