【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第74章 必要な犠牲
次の瞬間。
上に居た人が吹き飛ぶ。
えっ......?
「いてぇな......何するんだよ」
山城さんの声が遠くから......。
「大丈夫......じゃないよね。ごめん」
泣きそうな声が聞こえると、腕の中にいた。
この声......。
「ま......すなが、さん......?」
夢を見てるのかな......?
夢なら......。
その背中にギュッと腕を回した。
更に力強く抱きしめられると、胸がいっぱいになって......。
こんな幸せな夢なら、ずっと終わらなければ良いのに。
姿を見て触れてもらえた。
それだけで、生きててよかったと思える。
世界一幸せだと思える。
今更、遅い。
遅いけど......記憶が無くても彼は彼だったんだ。
こちらを見つめる瞳は優しくて、そのことに気付けて本当に良かった。
「感動的なところ悪いけど、このデータを取り返さないと君達が付き合ってるって公表する」
その声に状況が現実味を帯びてくる。
そちらを見ると、携帯電話を持つ山城さんと目が合った。
「夢......?」
「夢じゃないよ」
夢じゃない......本当に助けに来てくれた?
「でも、写真が......」
根本的なことは何も解決していないんだ。
どうにかして、あれを取り返さないと......。
「好きに公表すればいい」
「えっ......?」
そう言ったのは増長さん。
「それを公表して何になるんですか?俺達は痛くも痒くもない」
「どういうことだよ?困るだろ!」
私も同じで状況を理解できてない。
困るのは、私より彼の方だと思うのに......。
「何を勘違いしてるか知りませんけど、俺は彼女に全く興味ないです......というより迷惑してます。二人で話し合って好きにしてください」
どういうこと?
「でも、彼女に......みょうじさんにしたことは絶対に......許さない」
増長さんはそう言うと山城さんを外に放り出した。
「暴れるんじゃないわよ!」
夜叉丸さんもいるのかな?
そのままパタンと扉が閉まる。
なんだか......慌ただしかった......。