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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「…義骸着てた筈なんだけどね。雨竜ならちゃんと傷を治したから大丈夫だよ。」

「心配していましたよ、黒崎サンの事を。」

「石田が?俺を?まさか。」

「アタシは一応彼にも此処で少し休む様に言ったんですがね…こんな事言われちゃいました。
"お気遣いありがとうございます、でも僕は大丈夫。それより黒崎をよろしくお願いします。…今、奴らを倒せる可能性があるとすれば…それは僕じゃない。…黒崎をよろしくお願いします。朽木さんを救えるのは彼だけだ。"」

浦原の…いや、石田の言葉に一護は目を見開く。頭の中で先程の光景が鮮明に甦った。何も語らず去って行く背中。思い出す度己の無力さを知りどうしようもない感情が沸き上がり、指先に力が篭る。

「…俺だけ、か。はっ、どーしろってんだよ俺に…ルキアは尸魂界に帰っちまったんだぞ!!どうやって尸魂界まで追いかけろってんだ!?どうやって助けりゃいいんだよ!?できゃしねーじゃねえか…っ!」

「…本当に無いと思いますか?尸魂界に行く方法。」

「!!…ある…のか!どうやるんだ!?どうしたら行ける!?教えてくれ!!」

絶望の中細い糸が垂れ落ちてくる様な細い希望に縋るかの如く一護は身体を起こし切羽詰まった顔で浦原に迫る。しかし彼はクスリとも笑わず人差し指を立てた。

「勿論教えますよ。ただし条件が一つ。これから十日間、アタシと一緒に戦い方の勉強しましょ。」

「べっ…なんだそれ!?修行でもしろってのか!?そんなヒマねーだろ!ルキアは尸魂界でいつ殺されるかわかんねーんだぞ!そんなコトしてる間に少しでも早く…」

「わかんない人だな。」

浦原は持っていた杖に見える斬魄刀の鋒を一護の額へ向けそのまま霊圧だけで彼を仰向けに押し倒した。一護は研ぎ澄まされた威圧感に頬を冷や汗が伝う。ただの杖だというのに、まるで刀の先を向けられているような感覚に生唾を飲み込んだ。

「言ってるんですよ。今のままじゃキミは死ぬ、と。アタシは今回敢えてキミを彼らと戦わせました。それは、そうした方が口で言うよりキミにはわかり易いと思ったからなんスよ。今のキミの実力じゃ、尸魂界で戦うにはなんの役にも立たないって事実をね。キミは弱い。弱者が敵地に乗り込む事、それは自殺って言うんスよ。"朽木サンを救うため"?甘ったれちゃいけない。死にに行く理由を他人に使うなよ。」
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