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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



浦原の袖がゆうりの眦を拭った。2人で悲鳴の上がった部屋を覗き、彼女は目を丸める。治療しているとは聞いたが、何故握菱が一護に覆い被さる形で布団の中に潜り込んでいるのだろうか…。

「あんまり動くと死にますよン♡」

「…ゲタ帽子…!ゆうり…!?お前なんで目ェ赤いんだ!?そいつに泣かされたのか!?」

「あはは…ちょっとね。一護、じっとしてて。テッサイさん、続きは私が。」

一護の隣に膝をつき、身体を見下ろす。上半身はほぼ包帯が巻かれており重症なのは直ぐに分かった。寧ろ生きていたのが不思議な程だ。ゆうりは両手を持ち上げ淡い光をあてる。

「喜助、回帰能力を試して見てもいい?」

「構いませんが、鎖結と魄睡はダメですよん。その力は元々朽木サンのものですから。今後は彼自身の死神の力を目覚めさせないと。」

「分かった。」

小さく頷きそっと瞼を降ろす。淡い光は一護全体を包み込んだ。包帯に隠れてしまい見えないが絶たれた肉や傷口が治るというより斬られる前へと"回帰"していく。握菱は顎に手を添え、興味深そうにその光景を眺めた。

「ほう…これは確かに、有昭田殿と同じ力をお持ちですなぁ…。」

「恐縮です…ハッチさんはもっと早くて完璧ですから。」

「ハッチ…?」

「黒崎サンは気にしなくていい事です。それよりココ、何処だと思います?」

「……あんたの家か。」

「ハイ、ご名答♡」

浦原は手にしていた扇子をパチン、と軽快な音を立てて閉じる。全ての傷の回帰を終えたゆうりは手を降ろし細く息を吐き出す。回帰能力は治癒霊力とは違い神経を使う。その分、ただの回道よりも強力なのは確かなのだが。

「…あんたが俺を…助けたのか……?」

「おや?心外っスねぇその言い方。まるで助けて欲しく無かったみたいに聞こえる。」

一護は唇をへの字に曲げたまま言葉なく俯いた。その脳裏には、白哉と共に去って行くルキアの背中と泣きそうな顔が頭にこびり付いて離れない。

「…………そうだ…あそこには石田も倒れてたろ?あいつどうした?あいつもここに?」

「彼は、傷は血はたくさん出ちゃいるが大したものじゃなかった。あのまま放っといてもまる2日位は死ななかったでしょう。それに、ゆうりが近付いてくるのが分かったんで彼女に任せました。」
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