第9章 現世編(後編)
「……尸魂界は通例、殛囚の刑の執行まで1ヶ月の猶予期間を取るの。それはルキアの場合でも同じよ。絶対に。」
「これからキミをイジメるのに十日間、尸魂界への門を開くのに七日間、そして尸魂界へ到着してから十三日間…充分間に合う。」
杖を引いた浦原は立ち上がりくるりとそれを回転させる。一護はイジメという言葉が引っかかり彼へジトリとした眼差しを向けつつ体を起こす。
「…十日で俺は、強くなれるか?」
「勿論。キミが心から朽木サンを救いたいと願うなら。想う力は鉄より強い。半端な覚悟ならドブに捨てましょ。十日間アタシと殺し合い、できますか?」
「…俺が出来ねぇつったら…ゆうり以外誰もやる奴いねぇんだろ。しょうがねぇっ!やってやろーじゃねぇか!」
ずっと曇っていた一護の瞳に光が戻った。そんな彼を見て浦原は唇を弧を描かせる。
「決まりですねぇ。」
「一護…一緒にルキアを助けに行こう。私も戦うから!!」
「あぁ!」
ゆうりが一護の手を取りぎゅっと握れば彼もそれに返す。こうして、現世から連れ去られてしまったルキアを救出すべく、彼らの特訓が幕を開けるのだった。
*