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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



雨に打たれる彼の腕からは血が滴っている。ぽたぽたと静かに流れ落ちるそれを見てゆうりは彼に歩み寄り包帯が巻かれた腕と血のにじむ腹へそっと治癒霊力をあてた。石田は己の傷の痛みが引いていくのを見ながら、眉間にシワを寄せる。

「…あいつらは何者なんだ?何故、朽木さんを連れて行った…?キミはあの死神達を知っているのか?」

「…勿論、知ってるよ。私の元上司と、後輩だった子だから。」

「染谷さんの…朽木さんは一体どうなるんだ…?」

「……殺されてしまうかもしれない。けど…させないよ。」

傷が癒えたのを確認するとゆうりは両腕を降ろした。石田は彼女の言葉を聞いて眉間の皺を更に深める。

「…ごめんね、私もまだ全部を知ってるわけじゃないの。明日は学校に行くから、その時また話しましょう。」

「……あぁ。」

「またね、雨竜。」

力無く笑い、ゆうりは踵を返す。向かった先は今出てきたばかりの浦原商店だ。家ではなく、こちらの方向から一護の霊圧を微かに感じる。多分、浦原が傷付いた彼を回収したのだろう。
商店に戻り、玄関から入ろうとしたところで床へ上げた足を引っ込める。素足で雨の中走り回ったせいで、泥だらけだ。急いで出てきた為ハンカチすらポケットに入っていない。しとどに濡れた髪と着ていたトップス、スカートの裾を絞る。すると奥からパタパタと走る音が聞こえて来た。室内から現れた彼女の手にはタオルと部屋着が乗せられている。

「お…おかえりなさい。これ、キスケさんが…。」

「…ありがと、ウルル。」

「お茶も淹れたから、着替えたら飲んでね。」

彼女は笑って頭を下げて居間へ引っ込んでしまった。ゆうりは受け取ったタオルで冷えた身体を拭き、しっかり下着まで用意された新しい衣類に袖を通す。髪ばかりはどうにもタオルでは乾かず、仕方なくポニーテールに結び上げた。漸く室内に入り、ぺたぺたと音を立てながら居間に入る。ちゃぶ台周りに座っていた浦原が、待っていましたとばかりに顔を上げた。

「おかえりなさい。夏といえど雨に打たれれば寒かったでしょう。少し温まって下さい。」

「はい……あの、一護は…?」

「彼なら心配ありませんテッサイが治療してくれています。」

「そっか…。」
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