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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



起き上がろうと片手で床から身体を押し上げようとした刹那、彼の指先が首筋にトン、と触れた。途端に四肢の感覚が薄れ力が抜ける。昨日ルキアに使用した縛道だろう。白伏とは感じが全く違う。意識はハッキリしているのに体は言うことを効かない。鬼道で打ち消そうにもそれすら叶わなかった。

「……あぁ、どうやら尸魂界から迎えが来たみたいですねぇ。話の続きはまた後でしましょう。」

「待っ……どこ…行くの…!」

「喋れるんスか?凄いなぁ、これでもかなり強力な縛道を使ったつもりなんですけど。まぁ、ゆうりはしばらく此処で頭冷やして下さい。」

浦原は立ち上がり斬魄刀を持って彼女の元を去って行く。迎えが来た、という彼の言葉の意味が分からない。霊力を扱えない今、外で何が起きているのかも知り得ない。それが悔しくて仕方が無かった。成長したつもりでいたのに、まるで赤子のようにあしらわれてしまうそれが情けなく、悔しい。

「くそ………ッ!」

「なんじゃ、和解出来ぬまま喜助は出ていったのか?」

「夜一さん……。」

細く開いた襖から、猫の姿をした四楓院が頭を覗かせそのまま強引に部屋へと身体を捩じ込ませ侵入してきた。久々に見る彼女は相変わらず綺麗な毛並みをしており、ゆうりの横にちょこんと座る。

「どれ、喜助の代わりに少しだけ儂が話を続けてやろう。」

「夜一さん、が…?」

「何故彼奴が黒崎一護に拘るか分かるか?」

「……分かりません。」

「…確かに崩玉を造ったのは喜助じゃ。危険性を予測せずアレを造ってしまった奴に非が有り、本来藍染と直接戦うべき男も誰でもない、彼奴自身がやるべき事なのじゃろう。しかし、喜助は尸魂界から既に追放されてしまっておる。あの男は二度と、尸魂界への門を潜ることを許されておらぬのじゃ。」

「……え?」

追放されたというのは知っていた。知っていたが、門を潜れないというのは今初めて聞いた事実だ。てっきり尸魂界から追われているだけで戻る事は出来ると思っていた。彼の意思で戻らないのでは無く、戻る事がそもそも赦されていないなんて。

「門を潜ろうとすれば弾かれてしまう。つまり奴は向こうで戦う事が出来ぬ。だから戦うにしても、藍染自身を尸魂界から引きずり出す必要があった。故に、その希望を黒崎一護へ託す事を決めた。」

「一護に…?」
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