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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



この短期間でこれだけ成長するのは彼の若さ故かそれとも才能なのかは分からないが、これを見越して喜助は私を止めたのかしら…。
虚圏へと身を引いていく大虚を見ながら色んな思考がゆうりの頭の中をぐるぐると巡った。そして何より増幅した一護の霊圧が安定せず揺れ動く事が気に掛る。制御が出来ていない。

「勝ォーーーーー利!!!」

「…な…なんて奴だ…あんなバケモノを…追い払ってしまった…。…なんて奴だ…!!」

腕を高らかに上げてピースする一護に石田はフルリと震えた。それは恐怖か、悔しさか分からない。
周りの虚も全て討伐し終えた握菱は一護の背中を見て目を細める。

「お見事…!流石店長が見込まれただけの事はある…!」

「な…なんだアイツ、ソコソコやるじゃねーか…あいつの力ってそんなデケーのか!?なァ?テッサイさん!」

「………そうですな…。…いずれ…手網の握り方さえ憶えられれば…。」

「…ねぇ、あそこまで出来ると読んでいたの?喜助。」

「いいえ、どちらかといえば想定以上と言えるでしょう。矢張り彼の子ですねぇ。」

扇子を開き口元を隠した浦原にゆうりは小さく息を吐いた。刹那、背後で何かが落ちる音がする。振り返ると一護が倒れていた。先程傷は癒したのだ、見たところ外傷は全く見られない。

「…何だ…?力が入らね……。」

「一護?…っわ……!」

彼の斬魄刀を握る腕がドクリと大きく跳ねる。そして、斬魄刀がぐにゃりと形が波打つように変形した。見たことの無い症状に一護は目を見開く。

「な…!?何だ!?何だよこれ!!」

「黒崎!!」

今まで抑えられていた霊力が突然解放された事で彼自身調節が出来ず、斬魄刀が耐え切れなくなり形状が崩れ始めているのだろう。その影響は直ぐに周りに現れる。石田の所持している弧雀は、大気中の霊気を扱う為自動的に彼の霊力に触れてしまい先程一護の斬魄刀に触れた時よりも更に大きくなった。
このままでは、霊子兵装としての形状を保てなくなってしまう…!
石田がそう考えると同時に、一つだけこの溢れ出る彼の霊力を落ち着ける方法を思い浮かんだ。直ぐに霊子の矢を造り、それを空へと放つ。
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