• テキストサイズ

【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



石田は無意識に近くにあった一護の斬魄刀へ手を乗せた。途端、とてつもない量の霊力が一気に身体へ流れ込み、全身を伝って彼の武器である弧雀は身体以上に巨大化する。一護は顔を横に向け、どうやって大虚を倒すかブツブツ口に出し思考しているせいで石田の変化に気付いてすらいない。

「滅却師は霊力の扱いが死神とは全く違うんだよね。死神は自分の魂を斬魄刀に具現化させるのに対して…滅却師は大気中に偏在する霊気を扱うから、外の影響をとても受けやすい…だから一護の霊気のを受けて武器が巨大化したんでしょう。」

「なるほど…無意識に垂れ流している霊気でこれなら、黒崎が自分で霊力を最大放出する事でなんとかなるかもしれない…。黒崎!!」

「あ?何だよ…うわっ!?」

細くは有るが確かに見えた勝機に石田は一護に声を掛けた。己を呼び掛ける声に振り返った彼は石田の手にある弓が巨大化しているのを見て思わず身体が飛び上がる。

「な…なんだその弓!?なんでそんなでっかくなってんだ!?」

「いいから!聞けよ!僕たち…アイツを倒せるかもしれない!!」

「あ!?」

緩慢な動きで現世へ歩みを進める大虚を放置し石田は思い付いた作戦を一護へと伝える。突破口を見出した事を察したゆうりは浦原の元に戻り、彼らの様子を見守った。

「あれで良かった?」

「上出来です。これで後は何かしら試してみるでしょう。」

石田の提案した作戦は至ってシンプルだった。斬魄刀から流れ出る霊気を石田が受け、巨大化した弓で大虚を射抜く。作戦としてはまぁ悪くないだろう。が、その見た目はとても間抜けに見えた。一護の霊力を斬魄刀を伝い石田が受け取るのだからもちろん一護は斬魄刀を握っている。そしてその斬魄刀が下手にぶれぬよう、柄の部分を石田の頭に乗せ布で縛り固定させた。確かにこれならば弓の巨大化は維持できる。しかし機動力に関しては皆無に思えた。
ゆうり達の居る場所からは彼らの位置が少し離れており、何やら揉めているようにも見えたが声までは聞こえない。そして、大虚は彼らの作戦が実行されるのを待つほど優しくは無かった。突如空気がビリビリと震え、霊圧が急激に高まっていくのと同時に肌を刺す様な痛みが全身を覆う。この感覚を、ゆうりは知っている。

「…虚閃を撃つ気だ……!止めないと…!」

「待ってください、手出しは無用です。」
/ 668ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp