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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「…ば…はか!!来んなっ!!あっち行けぇ!」

「な……何だよその言い方!?こっちがせっかく心配してんのにいっつもそうだよオマエは!!」

子供たちが揉め始めると、虚は茶渡から標的を男の子たちへ変えた。後ろから今にも襲いかかりそうな虚に、夏梨は飛び出し、茶渡は虚ろな目でそれを見る。
遠のいて行きそうな意識の中、彼にとって誰よりも尊敬し、愛した男の言葉が頭に響く。
"守りたい。"
そう強く願ったその時、想いは力へと形を変える。立ち上がった茶渡の拳が、虚の左肩を吹き飛ばした。

「…え……何、アレ…。」

「アレが、彼の力でしょう。」

砂埃が晴れた時、そこに立っていたのは右手が武装された茶渡の姿だった。真っ黒な鎧に太く赤いラインが1本大きく入っている。その拳が虚の肩を消し飛ばしたのだろう。今まで見たことも無い武器だ。
それからは、一瞬だった。逃げようとする虚を追い掛けた茶渡は、拳で虚の頭を1発で殴り飛ばす。仮面を壊された虚は二度と立ち上がることはなく、力尽きた茶渡はその場で気を失い、夏梨は医師である父親を呼びに走って家へと帰って行く。子供たちも居なくなった所で、浦原達は彼へと歩み寄った。

「いやぁ、中々のパワーでしたねぇ。」

「どうして…人間があんな力を持ってるの…?」

「アレは元々彼自身の中で眠り続けていた能力でしょう。黒崎サンという、高い霊力を持つ彼と接触し続けてきた結果引きずり出されてしまった。テッサイ、彼を運んで下さい。次に向かいますよ。」

「そんな事が…あ、ま、待って!」

まだ納得が出来ず呆気に取られていると握菱はさっさと茶渡の身体を支えながら立ち上がり、引き摺りながら浦原と共に歩き始めてしまう。ゆうりも一拍置いて2人の後を追った。
次に着いたのは学校だった。既に戦闘は終えたらしいがこちらは空き地と比べ随分被害者が多かったらしく、沢山の生徒たちが辺りに倒れており、窓ガラスは割れ、凄惨だ。その中で本匠、有沢、井上の3人が倒れているのを見たゆうりは顔を青ざめさせて彼女らの元へ駆け寄った。

「千鶴!たつき!織姫!!大丈夫!?」

「全員まだ息は有りますね。治療すれば充分間に合います。」

「私が…!」

「手伝いますぞ、ゆうり殿。」
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