第9章 現世編(後編)
「行ったぞ一護!!」
「おう!」
「ぐ……ッ!」
「さァ!逃げ場はねぇ…」
窓に辿り着く直前、今度は死神化した一護が窓から飛び込んで来た。挟まれた改造魂魄は漸く捕まる…かと思いきや、彼は一護の隣を通り抜けそのまま窓から飛び出て地面へと落ちていく。
「な……ッ!?ちょ……まてコラァ!こんなトコから飛び…誰のカラダだと思ってんだァ!!」
「一護、ルキア、早く追いかけよう。」
「ま…待てよ…!一体どうなってんだ…?あいつ一体…」
「…ゆうり、彼奴はまさか……」
普通の義魂丸であれば、肉体的に大きな変化がある事は無い。しかし一護の肉体を得たのは改造魂魄だった。それを知らないルキアは窓枠に手を掛け、華麗に着地を決め即座に走り去って行く一護を見て冷や汗を流す。
「改造魂魄よ。さっき喜助から連絡があったの。早く捕まえないと、今より大変な事になっちゃう。」
「そうだな…おい、いつまで惚けているのだ!行くぞ!」
「私も行くわ、商品の回収を頼まれてるから。」
今度こそ義魂丸を飲み込み、死神化してから鞄の中に忍ばせていた外套を着込む。未だ状況が飲み込めない一護を連れてゆうりとルキアは教室から逃げた改造魂魄を追い掛けるのだった。
「ああッ!ちくしょう!!見失っちまったじゃねぇか!俺を!!」
「モラトリアムだな。」
「アンダーポットなだけあって素早いねぇ。」
町に繰り出したは良いが、改造魂魄の動きはとても素早く出遅れた事も有り見失ってしまう。1度立ち止まった一護は嘆き、ルキアは表情も変えず突っ込み、ゆうりは頬を掻く。
「そんな分かりづらいツッコミしてる場合か!!ちゃんと俺…っていうかアイツを捕まえねーと!」
「ややこしいな。」
「オマエらも見ただろ?あの教室の騒ぎ…俺…っていうかアイツは俺の体使って井上とたつきのボケにキ…キ…キ…」
「キスしたみたいだね。」
「だアアアアッ!言うなボケ恥ずかしい!!」
「ふ…接吻など大したことではなかろう…現代の若者の性は乱れておると言うではないか…接吻ごとき挨拶のようなものだ………と、この前読んだ書物に書いてあったぞ。」
「ルキア、それ多分間違ってる。」