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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「なんだ…?」

「今黒崎が窓から飛び込んで来たんだよ…。」

「隣のクラスからマド伝いに来たんじゃねぇの?」

「下から飛び上がって来たんだよ!」

「オマエ見たのかよ!?」

「いや、オレは見てなかったけど…。」

淡々と答えた一護にクラスがザワついた。改造魂魄である彼は教室の床に足を下ろし室内を見渡す。そして恍惚とした顔で瞼を下ろした。
ゆうりは教室の後ろの方へ下がり窓から背を向けすかさず携帯を開きメールで浦原に連絡を取る。
その間、何かを探すようにキョロキョロ教室を見渡した改造魂魄は井上を見つけるや否や目を輝かせその場から高く飛び上がった。

「と……跳んだ…!!?」

「はじめまして、美しいお嬢さん。ボクにお名前をーーー教えて下さいな♡」

机の上に着地した彼はしゃがんだまま井上の項に手を添え、隻手で彼女の左手を取るとその甲へ恭しく口付ける。
声にならない悲鳴を上げる者も居る中、有沢は一護の背後から飛び掛り羽交い締めにした。教室が次第に阿鼻叫喚となる中やっと、メールの送信を終えたゆうりが振り返り頭にハテナを浮かべる。何が起こっているのか、さっぱり分からない。

「ちょ……ッ一護あんた!自分が何してるか分かってんの!?ジョーダンじゃ済まされないわよ!!さっさと織姫から離れなよね!!」

「……おまえも近くで見ると可愛いなあ。」

「………え?」

本来の一護であれば絶対に言うことの無い言葉に有沢は呆気に取られ、本匠は更に驚愕し顔を青ざめさせる。
それからは酷くなる一方だった。改造魂魄は事もあろうに有沢の頬に口付け、公衆の面前でそんな行為をされた彼女はたまらず発狂し、手当り次第に教室の机を一護へ向かって投げ付ける。こんな荒れ果てた教室で一護を連れ去り中身を抜く等到底出来ない。ゆうりは飛び交う机をひょいひょいと避けながら顎に手を充て唸った。

「いやー…もう少し早く見つけられればどうにか出来たんだけどこれじゃあもう仕方ないよね…。」

「そこまでだ!!」

「!!」

携帯が入っている方とは逆のポケットに手を突っ込む。アヒルの頭がついた義魂丸ケースを取り出し、丸薬を飲み込もうとした刹那、思い切り教室の扉が開く。勢いに飲まれ顔を向けるとそこにはルキアが立っていた。彼女の登場に気付いた改造魂魄は逃亡を計り、一目散に窓へと走る。
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