第9章 現世編(後編)
「ルキアとはいい具合にやってるみたいだね。」
「あー…そう、なのか?俺からすれば強引に仕事させられてるだけだけどな。」
「ふふ、確かに。でも悪い子じゃないんだよ。ちょっと意地っ張りな所は有るけど優しいし素直だし、あんな口調だけど可愛いものが好きなの。」
「そういやいつも図解する時変なうさぎの絵描いてたな…。」
「うさぎ…チャッピーの事かな。尸魂界で人気のマスコットなんだよ。うさぎのチャッピー。」
「お前とルキアって、同じ歳なのか?」
「全然違うんじゃないかな。私の方がよっぽど歳上だし、死神になったのも私が先だから。」
「へー。ゆうりの方が強いんだろ?ルキアが言ってたぜ。」
「…そうだね。それなりに強いと思うよ。なんなら私が稽古してあげようか?」
「それは遠慮しとく。」
「えー!?」
探り探りに投げ掛けられる質問をゆうりは躊躇うことなく答える。傍から聞いたらなんの会話をしているのか全く分からない様な内容だった。
一護の家に到着し、玄関から入る。ただいま、という声に部屋の奥から元気な返事が聞こえて来た。そして直ぐにパタパタとスリッパで走る音と共に、リビングに居た遊子が迎えに顔を出した。
「遊子ちゃん、久しぶり!」
「わぁ、ゆうりちゃん!お兄ちゃん、ゆうりちゃんと同じ学校だったの?」
「まぁな、後から転校して来たんだよ。夏梨は?」
「友達とサッカーするって行っちゃった。」
「そっか。じゃあ紹介出来んのはまた今度だな。」
「どうせならゆうりちゃんも夜ご飯食べてったら?この前のお礼もしたいし…今日はカレーだからいっぱいあるよ!」
「え!?そんな、悪いよ。」
「別にいいんじゃねーの?お前ん家が良いなら。」
「うーん…そうだなぁ……じゃあ、折角だし頂いていこうかな?よろしくね、遊子ちゃん。」
「えへへ、美味しいご飯作るからね!」
ニッコリと笑ってリビングに戻っていく遊子を見て頬が緩む。ウルルも既に妹の様な存在だが彼女とはまた違った、明るく素直で愛らしさがある。
2階に上がり、一護の部屋へ入った。彼は知らないだろうが此処に入るのは2度目だ。一護は自分の鞄を置いて部屋の扉へ戻る。
「適当に座っててくれ。飲み物持って来る。」
「えぇ、ありがとう。」