第9章 現世編(後編)
「ふぅ…義骸、強化して貰って正解だった。」
本来、義骸は普通の人間とほぼ同等の身体能力で造られる。しかし今後のことを考えたゆうりは普通の義骸では融通が効かなくなると考え、昨夜眠りにつく前、義骸の調整を浦原に頼んでいた。お陰で彼は今日死んだように眠っている訳だが。
「死神代行を任せるにはちょっと強引だったかな…でも、ルキアのあんなイキイキした顔見たの久しぶりだったかも。」
彼と話している時のルキアの表情は、十三番隊にいた頃を彷彿とさせた。一護が海燕に少し似ているところが有るからかもしれない。思えば彼は一心の息子なのだ。似ていたところでなんら不思議では無い。
一護の身体を屋上の壁へ凭れさせる様に降ろす。既に三限開始のチャイムが鳴り響いてしまった為、今更教室へ戻る気も起こらずゆうりも一護の身体の横へ座り空を見上げた。
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