第9章 現世編(後編)
「おかえりなさーい!どうでしたかぁ?学校は。」
「ただいま。楽しかったよ、友達も出来たわ。一護とも接触出来たし、実りのある一日だった。」
「それは良かったっス!ゆうりが留守の間、朽木サンが来ましたよ。ちょっとした挨拶をしに、ね。」
「そうなの?会いたかったな…。」
「まぁまた来ますよ。ウチの商品を贔屓にしてくれるそうなんで。」
「それなら会えるのを楽しみにしておこうかな。それより……学校にクインシーが居たの。喜助、知ってた?」
「………いいや、知りませんねぇ。」
浦原はパンっと音を立てて扇子を開くと口元を隠し目を背けた。その仕草は暗に嘘だと告げているように見えて、ゆうりは肩を竦める。
「別に隠さなくても良いじゃない。…クインシーって、まだ生きていたんだね。真咲さんが最後だと思ってたのに。」
「そんな事有りませんよ。彼らはまだ生きています。それこそ、この空座町でね。純血のクインシーはもう殆ど残ってないでしょうけど…。」
「…そっか。今度こそ仲良くなれると良いな。」
真咲とは、再び会う前に二度と会えなくなってしまったから。
クインシーは死神に怨恨を抱いているかもしれないが、それでも折角出会えた事を無駄にはしたくないと、そう思いながらゆうりは商店の中へ足を運ぶのだった。
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