第9章 現世編(後編)
目をそらされる。おそらく自分の考えは間違っていない、そう思えた。黒崎一護の動向を見守りに来ただけの筈なのに、どうしてこうも霊力の高い人間と巡り会うことが多いのか…重霊地だからか?
疑問は尽きぬばかりではあったが、学生としてこの場所に来た以上学業を疎かにも出来ない。ゆうりは真面目に授業を受けつつ、合間合間は生徒たちに囲まれ半日を過ごした。
そしてやっと始まった昼食時間。チャイムが鳴ると同時にいの一番に立ち上がり一護の元へと駆け寄った。
「一護!お昼一緒に食べない?」
「い、良いけど…多分アイツらも着いてくるぞ。」
親指で示した先には3人の男が立っている。1人は先程一護に掴みかかった茶髪の男。2人目はかなり大柄な褐色肌の男。そしてもう1人は小柄で童顔な黒髪の男だ。
「私も一緒に良いかな?」
「もっ…ももももちろん!なぁ、チャド!!水色!」
「ぼくは構わないよ、さっき挨拶も出来なかったし。」
「ム…。」
「ありがとう。」
思わぬお零れににやけ顔が止まらない浅野と、どうしても彼女が高校一年生に見えず凝視する小島、良いのか悪いのか表情の変化を読み取れない茶渡、そして一護と共に屋上へ向かった。
「いやぁ、やっと落ち着けた。」
「転校初日に囲まれて大変だなお前。」
「そりゃそうだろ!!こんな美女だぞ!?同じクラスになれただけでも幸せだったのに、まさかお昼までご一緒出来るとは…!一護グッジョブ!」
「あの涙流して喜んでる奴が浅野啓吾、ぼくが小島水色。大きいのが茶渡泰虎。茶渡の事はチャドって呼んであげてよ。よろしくね、染谷さん。」
「啓吾、水色、チャドね。3人は一護と良く一緒に居るの?」
「勿論です!!何時いかなる時も一護と一緒っス!」
「そんなベッタリじゃねーだろ気持ち悪い。」
「だってお前と一緒に居たら染谷さんと話す機会も増えるだろうよ!」
「……下心丸出しだな。」
5人は円を作る様にして地べたに座った。それぞれ弁当や買った菓子パン、おにぎりを持って食べながらも談笑は続く。一護はパンを頬張り、何かを思い出したかのように"あっ"と声を漏らせば隣に座るゆうりに視線を落とした。
「そういえば、お前俺んちにエコバッグ置いてっただろ。」