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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



診察室へ消えていく2人に一抹の不安を感じた一護だったが、入るなと言われた手前ズケズケと踏み込む事も出来ず、渋々遊子を連れて部屋へと戻るのだった。
一方、人の居ない診察室に入った一心とゆうりは椅子に座り向かい合って座っていた。

「えーと…何から話すべきなんですかね…とりあえず、生きててよかったです。一心さん。」

「お互いにな…つーかなんでお前までコッチに居るんだ?その義骸、浦原が作ったやつだろ。」

「いやぁ…それがなんて説明していいか。」

困った様に笑った彼女は一心が現世へ向かってからの出来事を端的に話した。あの時一心を襲った虚は藍染達によって作り出された事、己は六番隊から移籍した直後に彼らに嵌められ同族殺しとして尸魂界を追われていること、そして今は浦原商店で過ごしている事、洗いざらい彼に伝えると一心は特に驚く様子も無く頷く。まるである程度知っていたかの反応だった。

「なるほどなぁ…実はよ、コッチに来た時浦原から聞いてたんだ。裏切った奴の正体を。でもまさかゆうりちゃんまで尸魂界から追い出されてるたァな…。」

「私はこっちで一心さんが結婚して志波一心から黒崎一心になってる方が驚きですよ。…あの時の高校生ですか、お相手は。」

「ははっ、まぁな。もう何年も前になるが…覚えてるだろ、あの黒い虚の事。あいつが自爆した時、虚が真咲の中に取り付いちまってよ。所謂…虚化してたんだ。」

「真咲さんが?」

「あぁ。平子達ヴァイザードがどうやって虚化を止めたか知ってるか?簡単に言うとそうだな…ワクチンだ。浦原がソレを作ったんだよ。そのワクチンの作り方ってのが、虚化した対象の相反する存在だ。」

「死神と虚に相反する存在って事は…クインシーと人間…?」

「そう、逆にクインシーだった真咲と相反するのが…死神と人間。だが俺はただの死神だ。だから、浦原は人間の魂魄から作り上げた義骸を俺に寄越した。それを使って真咲の中の虚を抑えたが…真咲と虚の繋がりが切れない限り、俺も義骸から出られなくなっちまった。しかもその虚と来たら今度は一護ん中に入っちまってよ。今の俺には虚を見る事すら出来ねぇ。俺は、真咲を護る為に死神である事を辞めたのさ。」

「そうだったんですね…あの時…私が回帰能力を使っていれば……虚化を止められたかもしれないのに…ごめんなさい。」

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