第23章 17歳
リヴァイに抱かれていることに今さらながら気づいたマヤは、顔が赤くなったことが自分でもわかった。
「すみません! 兵長の方こそ大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ」
「……良かった…」
大丈夫との答えに胸を撫で下ろしたが、ふとこんな考えがよぎった。
リヴァイ兵長が身を挺して助けてくれたのはいいが、地面に倒れこんだのだ。兵服が汚れてしまったに違いない。
……大変! 兵長は綺麗好きなのに!
「今、どきますので」
とにかく離れて、そのあとは兵服の汚れ具合を確認したら洗濯を申し出ようと考えたマヤは、もぞもぞと動いた。
だが、がっしりと抱かれているリヴァイの腕から逃れようといくら動いても全然脱出できない… どころか、逃れようと動きはじめた途端にリヴァイの腕の力が強くなった気がする。
「あの…、兵長?」
「なんだ」
「もう大丈夫ですので…」
「だから?」
「放してください…」
「………」
返事をしてくれないばかりか、抱く腕にさらにぐっと力が入った気がする。
……どうなってるの?
戸惑うばかりのマヤがリヴァイの顔を見上げると、そこには切れ長の瞳が切なげに揺れていて。
「……もう少しだけ…」
……もう少しだけ?
リヴァイのささやいた言葉の真意がわからずに、マヤはただ、しなやかでたくましい腕の中にいるしかなかった。
もう少しだけ… このままで。
一秒でも早く、腕の中のマヤを解放しなくてはいけないのはわかっている。
けれども… どうしたって願わずにはいられないんだ。
……放したくない…。