第17章 壁外調査
「……まじない?」
「あぁ。これはきっと、マヤが早く目覚めますようにと願をかけた…、あ! いや! こっちか!」
急に大声を出すハンジに、ナナバは目を丸くする。
「想いが通じますようにか! うんきっと… いや絶対そうだよ、願掛けのまじないだね」
「………」
自信たっぷりにハンジの様子に、ナナバは黙りこんでしまった。
……いくら兵長がマヤを好きでも… というか、まだ兵長がマヤを好きというのだって信じられないんだけど…。
まじないとか、あの兵長がする?
いやいや、ないだろ…。
「……ナバ、ナナバ! 聞いてるかい?」
「あっ はい!」
「だからこれ、リヴァイのせっかくのまじないが無駄になったら気の毒だから、終わったら全く同じようにかけてあげよう」
「そうですね」
「よし! じゃあ拭こう。マヤ、さっきは悪かったね。今からさっぱりしよう。ちょっと失礼するよ!」
マヤに声をかけながらクラバットを取り、ブラウスを脱がす。
下着は取らなかったが、それ以外は丁寧に。
マヤって肌綺麗だよね… とか、胸大きいよね… などと言いながらも、二人は早く元気に笑顔を見せてほしいと願いながら心をこめて体を拭いた。
部屋を出たリヴァイは階段を下りるとそのまま玄関から出ていこうとしたが、本部にしている部屋の扉が開け放しになっていて、エルヴィンに見つかった。
「リヴァイ」
仕方なく部屋に入る。そこにはエルヴィンしかいなかった。
「どこに行く?」
「馬をつなぎに。あいつは俺しか扱えねぇからな」
そう答えながらふと、オリオンがマヤにも懐いていることを思い出す。
「それから俺の班に指示を」
「そうか。終わったら速やかに戻って、任務の報告をしろ」
「……了解」