第17章 壁外調査
「マヤが… リヴァイの士気を…?」
「あぁ。マヤが鍵を握っている。間違いない」
エルヴィンは部屋を出ていく直前のリヴァイの瞳に秘められた、仄暗い色を思い返していた。
「まぁ確かにリヴァイが最近マヤに対しては、どことなく他とは違う態度のような気はしてたけどさ。でも… そういうのと任務はきちんと線を引く男だと思うよ、私は」
「そうだな、リヴァイはそういう男だ。だが今はそれもできないほど追いつめられているのさ」
エルヴィンはそう言って、リヴァイの部屋があるあたりの天井を見上げた。
エルヴィンにつられてハンジもミケも、そしてモブリットにラドクリフ、ユージーンも一斉に天井を見上げた。
「……まぁ そういうことなら…。調査兵団の… いや人類のためだし前例のない特例もやむなしか…」
ハンジがぼそっとつぶやくと、ラドクリフが遠慮気味に切り出した。
「あの~ 団長…。今のハンジとのやり取りは、要するにリヴァイがマヤに惚れてるって話になるんですかい?」
ラドクリフの直球の質問に、皆は苦笑いをする。
「さぁ…。ラドクリフ、君の感じたままが答えだ」
とエルヴィンが返すと、ミケは笑いを押し殺せない様子でその長身を震わせた。
「はぁ…。でもあのリヴァイが? マヤを? ……そんなことあるんですかい?」
不思議そうにしているラドクリフの肩をハンジが叩いた。
「ラドクリフ! 今度リヴァイに、愛の花言葉でも教えてやったら?」
「ははは、それはいい」
笑うエルヴィンにラドクリフは顔を赤くしながら頭をかく。
「もう勘弁してくださいって」
「いよっ! 花博士! 」
「やめろよ、ハンジ」
「あ!」
ハンジは左の手のひらを右のこぶしで叩きながら叫んだ。
「ラドクリフは花博士で、ミケは鼻博士だよね! いや~、我が調査兵団は実にハナバナシイね!」