第17章 壁外調査
今までに考えたことのなかった自分の気持ち。
リヴァイ兵長に対して、特別な気持ち…?
それは “好き” ?
“好き“ なら、まわりの人のことは大概は、“みんな好き” だ。特別に嫌っている人なんかいないし、“みんないい人” だから “みんな好き” だ。
でも “みんな” のことは、そんなに気にならない。
どうして私を見つめていたの? とか、逆に目を逸らしたの? とか。ちょっとした言葉や態度にしても、私を助けてくれたの? とか、怒っているの? それとも私を避けているの? とか。
いちいち思い詰めたりなんかしない。リヴァイ兵長でなければ。
兵長が自分を見つめているような気がしたのも、避けていると感じたのも、きっと全部は私の方が意識していたから、そう感じてしまっていただけ。
……私… いつの間にかに、こんなにも兵長を…。
きっとこの気持ちは、上司や先輩や同期や友達に対して抱く “好き” ではなく、もっと “特別な好き“。
今みたいに見つめ合えば胸がどきどきして苦しくて。包まれている手が熱くて溶けちゃいそうで。
兵長には特別な意味はない視線かもしれない。握ってくれている手も怖い思いをした部下への思いやり。
……それでもいい。
リヴァイ兵長にとって私は特別ではないかもしれないけれど、私にとってリヴァイ兵長は特別だと気づいたから。
……リヴァイ兵長が好き…。
そう心の中ではっきりと自身の気持ちを言葉に置き換えると、一気に体温が上昇した。恥ずかしくて顔が火照る。
マヤは頬を紅く染めながら、リヴァイを見上げた。
その琥珀色の瞳は、この先ずっと大切に抱きつづけるであろう愛おしい想いへの初めての気づきに揺れていた。