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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第17章 壁外調査


おぞましくも生々しい記憶が、閃光のように身体を突き抜けた。

……怖い…!

かたかたと小刻みに震える。

あのときは、こんなに震えなかったのに。

虚無に囚われて全身の力も、生への執着も、兵士としての使命感や責任感も…、すべてが脱力していた。

……どうして今になって、こんなに… 恐怖で… いっぱいになるの?

遅れてやってきた恐怖に捕まってマヤのくちびるが、わなわなと震える。

「もう大丈夫だ」

包まれている左手に、ぐっと力がこめられる。

その声が… その手のぬくもりが、恐怖ですくむ心を癒してくれる。そんな気がして、マヤもリヴァイの手を握り返した。

でもまだ目は開けることはできない。

そこかしこに得体の知れない恐怖が潜んでいる気がした。

目をぎゅっと閉じたまま、リヴァイ兵長と唯一つながっている左手に意識を集中する。

……きっとこの手を離さなければ、大丈夫…。

そう自分に言い聞かせれば、震えも治まってくる。

そして再び聞こえてきたのは、今一番求めていた声。

「マヤ、お前を食おうとした巨人は俺が倒した。これからも必ず俺が倒してやる。何も怖くない。大丈夫だ」

「……これからも…?」

「あぁ そうだ。だから怖がらなくていい。震えなくていい」

つながっている手が、熱い。

「……だから目を開けて、俺を見ろ」

その言葉に、きっとすべては兵長の言うとおりなのだと思った。

死を覚悟し、受け入れようと諦めたあのときも助けてくれたのだ。これからも助けに来てくれる。

そう信じていれば、何も怖くない。

潜んでいる得体の知れない恐怖も、リヴァイ兵長の前では霞んでしまう。


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