第17章 壁外調査
……んんん…。
何かが… 揺れている…?
……ここはどこ…?
手を伸ばせば届きそうなところに、ぼうっと金色の光が揺らめいている。
掴もうと必死で腕を伸ばせば、かすかに声がする。
……マヤ… 死なないでね…。
この声は… リーゼ…?
金色のまばゆい光が遠ざかった気がする。
待って、リーゼなの?
……お嬢ちゃん、君は自由なんだ。あの鳶(とび)のように…。
また声が聞こえる。リーゼとは違う声だ。
この声は… 丘で会った金髪の…、自由の翼の…。
あなたは… あのときの…?
戸惑っていると金色の光は強く、ゆらゆらと。
……お前を一生守ってくれる… オレより強いやつと幸せになれよ…。
マリウスだわ…!
三人とも目の覚めるような美しい金色の髪の持ち主だ。
みんな、そこにいるの?
この金色の光は、あなたたちなの?
光が弱くなる。
代わりに聞こえてきたのは…。
「マヤ…」
低く静かでいて… 少し苦しそうで。これは誰の声…?
「俺は誓ったんだ…。必ずお前を守ると… 誓った…」
……リヴァイ… 兵長…?
声のした方へ手を伸ばしたいのに、動かせない。
手が熱い。手が… 左手がぴくりとも動かせない。
何かに包まれている、いや… 誰かに?
「マヤ…」
……リヴァイ兵長…!
私はここにいます…! 動けないの。ここにいます…!
マヤはリヴァイの声にすがろうと、動かない手を伸ばそうとする。
手が熱い。どうしてこんなに熱いの? 動かせないの?
まるですっぽりと包まれているみたいだわ、あのときのように。
あのとき、あの月夜の図書室でリヴァイ兵長の白く骨ばった手に強く握られた。
そうよ、この感覚は… この溶けてしまいそうな熱さは…!
……兵長が私の手を握っている…!