第31章 身は限りあり、恋は尽きせず
リヴァイは心いっぱいでそう叫んでいたが、口下手でうまく言葉が出てこない。
その代わりに、マヤの頬にふれている指先に想いを乗せて。
すべすべの頬を撫でていると、マヤが笑った。
「もう、一体どうしたんですか。くすぐったい!」
くすくすと笑うその笑顔が、泉から反射してこぼれる光のようで、さらにまぶしい。
愛おしさがあふれてきて、リヴァイは思わず抱き寄せた。
「きゃっ!」
ふにふにと頬をさわられていたかと思っていたら、ふいにぐいっと引き寄せられて抱きしめられて。
気づけばすぐ目の前にリヴァイの顔がある状況に、マヤの体温は一気に上昇した。
「もう、ほんとにどうしたの…」
最後まで言えずに、くちびるをふさがれた。
「んん…」
いきなりくちびるを奪われて、驚いたマヤは目を見開いた。
まさか突然キスをされると思っていなくて、全身の力をこめて押し返す。
「兵長、駄目です…!」
「……なぜ」
途端にリヴァイの眉間の皺が深くなる。
それもそうだ。
初めての口づけでもあるまいし、二人の記念すべき初旅行。景色の綺麗な場所で二人きり。想い合う二人が抱き合うのは自然の摂理。
「だって…」
マヤもリヴァイとの口づけが嫌な訳ではない。
ただ心の準備ができていなかったから驚いて、恥ずかしいだけだ。
だから拒否をする理由など、もちろんないのである。
………。
そしてとっさに、視界に入った馬たちのせいにした。
「だってオリオンとアルテミスが見ています…!」
「ハッ、何をいまさら。サビの家のときもいたじゃねぇか」
「あれは夜だったから、見えないです…!」
「どうだかな…」
リヴァイはその美しい曲線を描く細い眉を高々と片方吊り上げる。
「馬は夜でも…、いや夜の方がよく見えるからな」
「えっ、そうなの…?」
驚いてまた大きな琥珀色の瞳をまん丸にしているマヤの頬に手を添えて、リヴァイは有無を言わせず口づけた。
「あっ…、ふぅ…!」
押し返すことはもうできない。
急速に、そしてやや乱暴に侵入してきたリヴァイの舌がからみついてきて、もう何も考えられない。