第27章 翔ぶ
しばらく二人は “頭の体操” の薔薇の問題について、“簡単そうに見えて意表をついた面白い問題だ” などと話し合っていた。
ミケが良いことを思いついたぞ、という顔をする。
「この問題、ラドクリフに出してやろう。花の問題だけにな」
「いいですね、喜んでくれそうです。あっ!」
「どうした?」
「私もこの問題を出したいなぁと思う人がいて…。レイさんなんですけど」
「レイさん…? あぁ、レイモンド卿か」
「はい。バルネフェルト家の紋章は白い薔薇なんです。お屋敷の装飾も家具もお部屋の名前さえも白薔薇でそろえてあって。庭園にある薔薇園も白薔薇だけが咲いているんです」
「ほぅ…。白薔薇御殿といったところだな。確かに白い薔薇の問題だし、ぴったりじゃないか」
同意してくれたミケの言葉に顔を輝かすマヤ。
「……でしょう? それからレイさんにはアトラスさんというお友達がいるのですが、アトラスさんの家のロンダルギア侯爵家の紋章は赤い薔薇です」
これにはミケもその小さな目を見開いた。
「今度は赤薔薇か…、できすぎた話だな。そもそもこの問題の “貴族の立派な薔薇園” がレイモンド卿とアトラス卿の薔薇園ではないかと思ってしまうくらいだ」
「はい、本当にそうですね。レイさんにこの問題を教えたいなぁ…」
マヤはそこで口をつぐんでしまった。
……教えたいと思ったけど…、レイさんとは当分のあいだ会えないんだった。
なぜならいくら任務といえども、そう続けざまに王都へ行けるとは思えない。
そもそもそれ以前に、果たしてレイモンド卿がマヤに会うために再度招待をしてくるのかどうかも定かではない。
「……レイさんにもう会うことはないと思うから、教えたくても教えられないですね」
急にそんなことを言い出したマヤに驚くミケ。