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欲望ノ枷【R18】

第2章 幕開け




車の後部座席に乗り込み、何事も無かったかの様に足を組んで外を眺める煌。
そんな煌の様子は、胸がざわつく様な恐怖心を野崎の心に植え付けた。

再び指示されるがままに車を運転し、次は煌の妹である雪音の学校の近くまでやって来た。
雪音の通う私立の女子高と隣り合わせに建つ、同じく私立の男子高。其処に向かう男子生徒の一人に、煌自ら声を掛けた。


煌「おはよう、翼君」

翼「あ、煌さんじゃん。はよ-」


先程の瑛の時とは打って代わる人当たりの良さを見せる煌、そしてあくまで自然体とばかりにフランクに返す翼と呼ばれた少年。
当校中の少年達と同じ制服を着ている事から察するに、彼はこの男子高に通う生徒らしい。


煌「あの件、漸く被験者が決まったよ」

翼「お。じゃあ、やっと僕の出番って訳だ?」

煌「ふふ、そうだね。期待してるよ」


煌の思い描く欲にまみれた計画には、一体どれだけの人間が関わるのだろうか。野崎は思わず体を震わせた。
未成年であろう翼と呼ばれた少年の平然とした様子も、どうかしている。

ふと、よく見てみれば、翼と呼ばれた少年には見覚えがあった。
思い返せば【colorful】という名で活躍しているアイドルグループのリーダーを務めている真白(ましろ)という名の少年の顔と合致した。
colorfulはグループのメンバーが色分けされた、人気アイドルグループだ。純白担当が彼、真白改め翼だ。


翼「で、次はセンセイ集め?」

煌「そうなんだ、誰かオススメは居るかい?」


瑛の家での一件は一体何だったのだろうか。少なくとも野崎を困惑させるには十分な程、煌は穏やかに楽しそうに笑っていた。
右手を腰に添え、首を傾ける煌。その問い掛けにあざとくも人差し指を唇に添えて暫し考え、添えていた人差し指を顔の横でくるりと回転させる翼。
そして、翼は口を開いた。


翼「居るよ、先輩に一人」

煌「何処に行けば会えるかな?」

翼「あの人は女の子いっぱい連れてるか、ナンパしてるかだからね。適当に歩いてれば見つかるんじゃないかな?」


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