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欲望ノ枷【R18】

第2章 幕開け




煌「被験者は見つかった、あとは調教師だけだ」

瑛「いや、ちょっとタンマ先輩。まず、被験者って女の子?」


瑛が気にしたのは奴隷や調教等という言葉では無く、被験者の性別であった。


煌「ああ、当然だ。男を肉奴隷にして、誰が得するっていうんだ?馬鹿か」


瑛の言葉に、煌は呆れた様に言う。
すると、その答えを聞いた途端、目を輝かせて前のめりになる瑛。
それはまるで昆虫を見つけてはしゃぐ少年の様だ、と野崎は思った。


瑛「俺に話しに来たって事は、俺がその候補って事でしょ?ならその調教師ってやつ、やってあげても…うっ!?」


瑛が調子に乗った様子で話し始めた途端、煌が瑛の胸ぐらを掴んで自らの方へと引き寄せる。
拳が喉と顎の中心程の所に食い込み、息苦しさと圧迫感が瑛を襲う。
眉根を寄せ顔を顰めさせては、煌の手に自らの手を添えて苦しさを訴える。
しかし煌の方はといえば、瑛の苦しみなど関係は無い様子で苛立ちを露にしていた。


煌「お前、何か勘違いしてるんじゃないか?僕がお前にやって下さいって頭を下げに来たとでも思ったのか。お前を潰すくらい、羽虫を払う様な物だと…何度言えば学習するんだ?」

瑛「ぅ…ぐ……あ…っ…す、すみ…ま…せ…」


煌は野崎が思っている以上に危険で不安定な男に成長してしまったらしい。あの子供想いな要の息子とは野崎にはどうしても思えなかった。
絶対的勝者であるとばかりに瑛を見下しながら罵倒する煌。あの端正な顔を苦しさに歪め、ただただ苦痛に耐える瑛。
次の瞬間、ゴミを捨てるかの様に掴んでいた瑛の服を離す。


煌「お前に仕事をさせてやろうって言うんだ。有り難く思えよ、瑛」

瑛「……」


小刻みに頷いて見せる瑛。その瞳には、僅かだが恐怖という感情が浮かんでいた。
煌は自らのスーツの乱れを正し、立ち上がる。そのまま何も言わずに玄関から出て行ってしまう煌、野崎は瑛に一度頭を下げてから同じくその場を後にした。
頭を上げた瞬間に見えた顔を背けた瑛の顔が、僅かだが青ざめて見えて、野崎は胸が締め付けられる様な思いにギリッと歯を噛み締めた。


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