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stride‼︎

第2章 公園日和


「んー…。」
眩しくて目が覚める。
ロシアにしては珍しく青空が覗いていて嬉しくなる。

昨日はメールの返事を考えて考えて考えて、で、結局
『今日はありがとうございました。
こちらこそよろしくお願いします!
ゆめ』
とありきたりなメールしか送れなかった。

本当はもっと話したくて、会いたくて、でも、何をどう送ればいいかわからなくて…。

「ううー。悩んでもしょうがない!
せっかくのいいお天気だし、買い物でも行こう!」

パンと紅茶で簡単な朝食を済ますと、着替えて家を出る。

今日はお気に入りの赤のタートルネックのセーターに緩めの色あせたデニム、足元はこげ茶のサイドゴアブーツ。
コートはチェックのショートコート。
大きめのトップスとバランスがいいように髪はお団子にする。

寒いがキンと冷えた空気が心地よい。
スーパーに向かって自転車を軽快にとばす。

途中、広場にちょっとした人だかりが出来ていて足を止める。
なんだろう?
何か勝負でもしてるのか、やんややんやと喝采が起きている。

背の低い私は人垣の隙間から中を覗く。
どうやら男の人2人が腕相撲をしているらしい。

1人の人がわたしのいる辺りを見て
「あっオリガ!!」と言うと、もう1人が振り向く。

「「あっ!!」」
2人で同時に叫ぶ。

「南波さん!」
「ゆめちゃん!?ぉわっ??」

その瞬間南波さんの腕が倒される。

「何だヒビチョフ、彼女か??」
「ちくしょー騙された!
彼女じゃないから。昨日お祝いの服一緒に選んでくれた女の子!」
「ほー、隅におけないな。」

噛み合わない会話をしている2人を他所に、堪えていた笑いを我慢できなくなってしまう。

「ップクク、ひっひびっヒビチョフ…。」
お腹が痛くてしゃがみこんでしまう。

「いやいや、ゆめちゃん…。うけすぎでしょ。」
「アハハっすみませんっ。
でも…ヒビチョフ…!!ふふっ!」
涙まで出てくる。

「なんだヒビチョフ、これからデートか。
行ってこい!!」
ドンと対戦相手の男の人が、南波さんの背中を押す。
「えっちょっ!イヴァン!!ちがっ…。
…まぁ、いっか…。」

南波さんが私を自転車の後ろの荷台に乗るように促すと、自分は前に乗り、自転車を漕ぎだす。




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