第7章 贈り物
日曜日、片付けに向かったアパートは、思ったよりも全てがびしょ濡れで、服も自分で洗えるものは洗えば使えるものもありそうだけど、コート類をクリーニング屋に持っていったら煙の匂いがとれないかもしれないと言われてしまった。
家具類も染みが残ってしまいそうだったけど、お気に入りだった桜の木を使ったドレッサーだけは、持って帰って寝室に置かせてもらうことにした。
帰り道、日々人が借りてくれた小さなトラックの助手席でシュンとうなだれたわたしに日々人が優しくポンポンと頭を撫でてくれる。
「よーし!これ家に置いて昼飯食ったら買い物行こう!」
「え、でも洗濯物もしなきゃだし…。」
「乾燥できるやつだけ一回回して、それ以外は明日でも大丈夫。
元気になることのが大事でしょ。」
運転中の日々人にコツン、と軽く頭突きされる。
「今までのより気にいる服、見つけに行こ。」
「……。うん。ありがと。」
鼻がツンと痛くなってポロリと涙が頬を伝って慌てて手で拭う。
日々人の優しさにわたしは何回救われるんだろう。
運転中で前を見たままだけど、日々人の大きな手がもう一度優しく頭を撫でてくれる。
お昼を家にある食材で作ったパスタで簡単に済ませて街にでる。
今日は少し日差しもあるけど気温が低く空気が冷たい。
日々人にピタリと寄り添って手を繋ぐとぎゅっと握りコートのポケットに入れてくれる。
何軒かお気に入りのお店をはしごした後、ユニセックスのセレクトショップのウィンドウで目を奪われる。
黒地に小花柄のゆったりとしたロング丈ワンピース。よく見ると、ウエストのところで切り替えがあって、スカート部分は細かいプリーツになっている。
前開きで下まで全てボタンだから羽織りとしても使えそうだ。
「ゆめに似合いそう。」
「試着してもいいかな??」
「うん。もちろん!」
店員さんに出してもらい試着室で着替える。
かわいい!!!
一枚もいいけど、ガウンニットに合わせたり、首が詰まってるからセーターと重ね着もかわいいかも!テンションがすごく上がる。
「どうかな?」
少してれくさいけど、カーテンを開けて日々人に見せる。
「うん!似合ってる!」
満面の笑顔で言われさらに照れてしまう。
「じゃあこれにしよっかな。」
店員さんに言って包んでもらっていると、男性用の手袋がたくさん並んでいるのを見つけた。
